ナルシスト、モラハラとの調停が失敗する理由と対処法
「中立でいることが大切」と言われる調停の場。けれども相手が ナルシスト(自己愛性人格障害) だった場合、この「中立」が逆に弱い立場の人をさらに傷つけてしまうことがあります。
離婚調停と養育費調停——私は 2回の調停の場で、相手の巧妙な心理操作に何度も追い詰められる経験をしました。
家庭の中では 暴言・支配的な態度・ガスライティングに苦しんできた相手。それでも「公の場=調停」なら正当に話が進むはず、初めての離婚調停ではそう信じていました。
けれども現実は違いました。相手(ナルシスト)は場の空気を読み、調停人の前では冷静かつ理性的な人物を演じます。一方で、私は精神的に疲弊し、まともに言葉が出ない状態に——。
中立性を重んじる調停のルールが、むしろ加害側に有利に働いていることに愕然としました。「このままでは正当な権利すら守れないかもしれない」と感じたのです。
この記事では、私がこの経験から学んだ「特にナルシスト、モラハラとの調停で知っておくべきこと」をまとめます。
同じような立場で悩んでいる方が、一歩でも冷静に・有利に進められるように——そんな思いで書いています。
ナルシスト、モラハラとの調停で知っておくべきこと
中立は時に危険になる
通常、調停人は「中立であること」が求められます。しかし ナルシストのような人が相手だと、中立でいるということは 逆に加害者を味方することになる場合があります。
私の元夫は、調停の場でこう繰り返していました:
「彼女(私)は罰を受けるべきだ。思い知らせてやる。」
威圧・ご機嫌取り・被害者ぶりを織り交ぜ、また、事実を捻じ曲げる嘘を堂々と並べ、その場を支配していきます。私はあまりの嘘に驚き、思わず萎縮して言葉が詰まりました。
冷静に反論するどころか、精神的に追い詰められ、劣勢になっていく自分を感じていたのです。そして、形式的な中立が事実上「元夫の味方」になっていたのです。
ナルシストの心理とは?
ナルシストは 「人より上に立ちたい」「思い通りに支配したい」という気持ちがとても強い傾向があります。そのため、交渉や話し合いの場でも 「どうすれば自分が勝てるか」という視点でしか物事を見ていません。冷静に話し合ってお互いに納得する…という普通の解決は、とても難しくなりがちです。
さらにやっかいなのは、外ではとても感じが良く「立派な人」と思われているのに、家庭やプライベートではまったく別の顔を見せるということ。承認欲求(認められたい気持ち)、支配欲、怒り、不安といった強い感情に振り回されやすく、話し合いの場をどんどん混乱させていきます。
公平な調停のために私たちが持つべき視点
私自身、離婚調停・養育費調停という場で、相手(元夫)の巧妙な嘘や支配的な態度に何度も心が折れそうになりました。「調停だから公正な場のはず」と思っていても、中立という建前が時に危険になることを身をもって知ったのです。
では、そんな場面で私たち当事者はどう備えたらいいのでしょうか?いわゆる「形式的な中立」に頼るのではなく、自分自身も「適応型の視点」を持って臨むことが大切だと感じます。
境界線を明確に意識する
ナルシスト的な相手は、こちらの境界を崩そうとするのが常套手段です。
私の場合も、調停の場で 的外れな話題を持ち出して本題から逸らそうとしたり、関係のない過去の出来事を蒸し返して私を混乱させようとしました。
だからこそ大切なのは:
「関係ない発言には説明も議論もしない」という自分なりのルールを事前に明確に決めておく
感情的に揺さぶられても 毅然とした態度を貫く
また、調停委員にはその都度:
「この発言は脅しのように感じます」
「これ以上の説明は控えさせていただきます」
と、冷静に伝えることも境界を守る重要な行動の一つです。
「中立=公平」ではないと理解しておく
表面上は「両者の主張を平等に聞く」のが一見公平に見えます。
ですが、実際にはその背景にある「力関係の差」「言葉の信頼性の差」「誠実さの差」を無視して両方の言い分を機械的に「同じ重さ」で扱うと、むしろ悪意ある側が有利になることがあるのです。
具体例:
一方(あなた)は事実に基づき冷静に主張している
もう一方(ナルシスト)は嘘・誇張・脅し・人格攻撃などを交えて主張している
この時、調停委員が「どちらの言い分にも一理ある」「50:50の視点で聞きましょう」としてしまうと、嘘や攻撃を「正当な意見」と同列に扱うことになり、結果的にあなたが不利に追い込まれるのです。
まとめると:
✅ 形式的な「平等な扱い」が常に公平な結果につながるわけではない
✅ 背景の力関係や言動の誠実さ、信憑性を考慮に入れて判断されにくい
調停に出る側としての心得:
「調停委員は中立な立場のはず」と思いすぎない
「両方の言い分をそのまま対等に扱われるとむしろ危険な場合もある」ことを理解し、自分の発言はできるだけ 事実と証拠をもとに冷静に伝える姿勢を保つ
この視点があると、もし調停がそういう形に流れそうな時にも「これは公平な扱いとは言えない」と冷静に気づけるようになります。
戦略的な共感を意識して使う
ナルシスト的な相手は
正論や事実では動かない
自分が否定されると激しく攻撃的になる
自分が優位だと感じている時にしか「譲歩」する余地が生まれない
という特徴があります。
だからこちらが「正しいこと」をそのまま言っても火に油を注ぐだけで逆効果になりやすいのです。
→ 自分が疲弊するだけで進展しない。
戦略的な共感とは?
✔️ あえて「否定せずに流す」「相手の承認欲求を軽くくすぐる」言い方を選ぶ
✔️ 本心では共感していなくても良い(むしろしなくていい)
✔️ 目的は「話をこじらせない」「こちらの要求を少しでも通しやすくする」こと
例:
「それは〇〇さんの考えですね、なるほど」
→ 賛成はしていないが、否定もしない。
→ 相手の承認欲求を刺激せず「自分の意見を持つ自由はある」という線を守っている。
つまり:
「共感できないからこそ使う技」です。
→ 本音では「ふざけるな」と思っていても、そのままぶつけたらこちらが損をするだけ。
→ 一枚上手に立って表面上だけ「はいはい」と流しながら自分に有利な方向に誘導していく — これが戦略的な共感です。
大事なこと:
✅ 心から共感する必要は一切ない
✅ 相手の操り人形にならないためにあえて使うテクニック
✅ 自分を守り、疲弊せず前に進むための割り切った方法
必要なら第三者のサポートを活用する
私は離婚調停の際に弁護士に同席してもらい、とても心強く感じました。しかし、養育費の調停では一人で立ち向かわなければなりませんでした。調停の場では弁護士以外の同席は認められていませんが、事前や事後に信頼できる人から支えを得ることができました。
具体的には、弁護士の無料相談を複数利用し、仕事の休みを取るために上司に事情を説明して理解を得たり、家族や友人にも話を聞いてもらいました。精神的にとても辛い時期もありましたが、調停の待合室で友人がそばにいてくれたことが大きな心の支えとなり、乗り越える力になりました。
調停は想像以上に心身を消耗します。だからこそ、弁護士だけでなく、家族や友人、心理カウンセラーなど、信頼できる人のサポートを積極的に活用することが大切だと感じています。
まとめ:私たち自身が「賢く構える」ことが大切
実際の経験から言えるのは、ただ中立を信じて受け身になるのは危険だということです。
私たち当事者が意識したいのは:
✅ 事前に境界線と主張内容を明確にしておく
✅ 「中立=公平」ではない現実を理解して臨む
✅ 戦略的に共感を使い、争いを回避しつつ自分を守る
✅ 必要な支援を迷わず活用する
調停が相手の「攻撃の場」になってしまわないように。
私たち自身が「賢く・冷静に・粘り強く」進めていく姿勢が求められるのだと、私は強く感じています。